先日、待ちに待った本が発売されました。
田中圭一著 うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~です。
(出版社: KADOKAWA ISBN-10: 4041037085 ISBN-13: 978-4041037089)
数年前、我が家はうつの渦中にありました。
すさまじい激流です。
そして今、嘘のように穏やかな・・・一進一退をしながらも
自然と笑いあえる日々を送っています。
夫からの遺書は今でも保存してあります。
もう「うつヌケ」したのに、なぜこの本を待っていたのか。
それは一度経験した人ならわかる
「突然リターン」です。
またあの状態にいつなるか、本当にわかりません。
今は幸せだけど、ちょっとしたキッカケで戻ってきます。
それに有効なのは過去の経験の振り返り(復習)と予習(予測)だと思っています。
この本はたくさんの「うつヌケ」した人の振り返りが載っています。
一度うつになり、回復していった人はもちろん
いまその辛さの最中にある人
逆に「私は(わたしの家族は)うつにならない」と
思っている人ほど一度読んでほしい本です。
私の過去の経験を交えながら、この本のおススメポイントを書いていきたいと思います。
うつになった本人とそれを支える家族
夫がうつになった時、その兆候はありました。
なんとなく食べなくなった、イライラして言葉に棘がある、夜遅くなっても
なかなか布団に入らない・・・
でも(とてもよくある事なのですが)
最初のうちはただ気分が落ち込んでいるんだろうと
私もいろいろ工夫し手を尽くしました。
一緒に外出に誘ったり、好きな音楽をかけたり
または啓発本的な物やコーチング本などをプレゼントしたりしました。
禁じ手の「一緒に頑張ろう」も何度も言ってきました。
でも、当時の夫はこの私のすべての行動が辛く
「世界で一番私が嫌いだった」と後々言っています。
結局ケンカが増え、トラブルすれ違いが多発し
その後、短期間で深酒がひどくなりギャンブルで大負け・浮気・暴言という
どうしうようもない状況になっていきました。
「なんて無責任な男なんだろう」
「なんて酷い男と結婚してしまったんだろう」と本気で思いました。
でも、夫の視点から見るとこうです。
「会社・妻・新生児の子どもも全員が俺を苦しめてくる」
「誰一人理解者がいない」「誰も手を差し伸べてくれない」
当時は本当にそう思っていたそうです。
まさにこのページです。
ここで、まだうつに関わっていない人や夫のためにフォローしますが
夫はもともとはこんな事をする人とは正反対の
仕事が大好き・真面目・思いやりがある・正義感がつよい・ルールを厳しく守るタイプの人です。
すべては「うつ」が引き起こしています。
うつは本人はもちろん、家族やその周囲も辛く
「もらいうつ」という言葉があります。
共倒れする家族も少なくありません。
わたしは遺書を見てはじめて・・・・
気が付いたのです。
数あるうつ関連本の中でなぜこの本がおススメなのか
この本をお勧めするポイントは
あくまで体験談であり
「こうするとうつが治る」という直接的なハウツー本ではないことです。
この本に登場する「うつヌケ」した人達は
投薬・森田療法・自力・自己暗示・呼吸法・スポーツなど実にさまざまな自分に合った方法で
うつをうまくコントロールしています。
そして多くの人がその複合型です。
実際に夫がうつになってから
いわゆる「家族会」に入り、たくさんのその家族や本人に会ってきましたが
個人的には「これをすれば必ず治る」というものにハマっている人ほど
リバウンドがキツイように思います。
この本にもありますが、うつは色々失敗したり試しながら「なんとなく、うまく付き合っていく」という表現の方がしっくりします。
それはもちろん家族もです。
なので「こうすると治る」「こうしてるからうつが治らない」
というタイプのうつの本はあまり人に薦めていません。
その点この本は「いろいろな抜け道」を見せてくれているので
そもそも真面目すぎる人にちょうど良い塩梅のように感じます。
夫のうつヌケ
夫の場合、
投薬なし・カウンセリングなし(逃亡するため)
で自然と約3年かけて徐々に治っていきました。
おおきなキッカケは「資格に合格したこと」と「引っ越し」です。
うつの状態で資格の勉強をするなんて、冷静に考えると
ありえないように思うのですが
夫の場合私生活はめちゃくちゃで音楽も聞けませんでしたが、勉強はなぜかできたのです。
そして、引っ越しなども普通はあまり良くない(ストレスが大きくなる)
と言われていますが
夫には合っていたようです。
そういった不思議もこの本を読むとなんとなく納得できます。
なんと試し読みできる!
今、この本をネットで数話見ることができます。
トーチweb うつヌケ
この機会にぜひ試し読みしてみてほしいです。
そして、このうつという現代の病に
みんなうまく付き合っていけたらいいなと思ってます。